勝ち負けにこだわる子②

勝ち負けにこだわる子は相対的に実践経験が少ないという話を前回しました。今回は勝ち負けにこだわる子への実際の支援について少し説明します。

 こだわりの残る子のよくある例は自宅で勝ち続けているケースです。ルールを理解すると今度は負けると悔しがって勝つまで続けたがります。保護者(特にやさしい方に多い)も怒らせないよう勝たせてあげます。これがいつまでも続く子は自宅で負けの経験がないので自宅以外で負けてしまうと怒りだして自分の要求を何とかして通そうとします。それはこれまでの経験から負けが勝ちになることができていた経験に起因します。ただこれがいつまでも社会で通用することはありません。この経験が少ないばかりに「勝ち負けのこだわりが強い子」というレッテルを貼られてしまうのは非常にもったいないことです。

この時の支援方法ですがまたじゃんけんを例にします。じゃんけんは単に勝ち負けを決めるだけでなく他の遊びに発展するものが保育遊びで多くあります。「グーチョキパーでなに作ろう」「おちゃらか」「後だしじゃんけん」といったものから「あっち向いてホイ」のように勝ち負けが直接つかないものもあります。

勝ち負けにこだわる前にこのような遊びを自宅で取り入れることが勝ちにこだわらないスモールステップの実践経験につながります。

負けの実践経験にならないじゃないかと言われそうですが、負けることを直接認めさせるのは行動分析的にあまりお勧めしません。行動の後のネガティブな結果はゲームへの参加行動そのものを減らすリスクがあるからです。したがって勝つこと以外の視点を大人が教えながら負ける経験を少しずつ入れることがポジティブな結果をもたらすやさしい発達支援であると考えます。

じゃんけんであれば保育遊び、スポーツであれば応援する視点、テレビゲームであれば協力プレイの視点といったものですかね。
対人との遊びのやりとりがやはり大事という事ですね。

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