福岡での事件をうけて

こんにちは、発達支援セラピスト訪問事業所のHです。

この話題をブログにするかどうか悩みましたが、二度とこのような悲しい出来事が起きないよう
願いを込めて転載したいと思います。

ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんので、簡単にどのような事件が起きたか毎日新聞の記事を一部抜粋します。

『知的・身体障害者らの支援を手掛ける福岡市のNPO法人が、障害児らの「療育」や「生活改善」のためと称して自宅で寝ているところを拘束して運営する施設に連行したり、長時間馬乗りになって頭部を揺さぶったりする行為を繰り返していたことが、関係者への取材で判明した。NPO側は「保護者は承諾していた」との立場だが、複数の障害児らが負傷し、中には骨折したケースもあり、保護者からは疑問の声も上がっている。専門家は「不必要な身体拘束は虐待だ」と指摘している。(7/18 毎日新聞)』

このような非常に痛ましい事件がありました。
このニュースを見た時、どれだけ子ども達が怖い思いをしたか思いをめぐらせ、支援者としてもですが一人の親として本当にいたたまれない気持ちになりました。

また、この問題となったNPO法人ではABAを実践しているということを謳っていたとのことで、ABAを実践している当事業所としても聞き捨てならない事件でした。

今回の事件はABAのこと以前に、倫理的に、人として許されない行為です。
また、言葉の暴力、身体的な暴力は脳に影響を与えることも分かっています。

日本心理学会の機関紙心理学ワールド80号にて、福井大学子どものこころの発達研究センター友田明美教授が以下のように述べています。

言葉による虐待(暴言虐待)が脳に与えるダメージを見逃してはいけない。母親から「ゴミ」と呼ばれたり,「お前なんか生まれてこなければよかった」というような言葉を浴びせられたりするなど,物心ついたころから暴言による虐待を受けた被虐待者たちを集めて,脳を調べた結果,スピーチや言語,コミュニケーションに重要な役割を果たす,大脳皮質の側頭葉にある「聴覚野」の一部の容積が増加していた(Tomoda et al., 2011)。中でも左脳の聴覚野の一部である上側頭回灰白質の容積が平均14.1パーセントも増加していることがわかった。そして暴言の程度が深刻であるほど,影響は大きかった。(中略)ところが子ども時代に言葉の暴力を繰り返し浴びることによって,シナプスの刈り込みが進まず,雑木林のような状態になってしまうのではないだろうか。人の話を聞きとったり会話したりする際に,その分,余計な負荷がかかることが考えられた。「生まれてこなければよかった」「死んだほうがましだ」など,暴言を受け続けると,聴覚に障害が生じるだけでなく,知能や理解力の発達にも悪影響が生じることも報告されている。言葉の暴力は,身体の表面には傷をつけないが心や脳に傷をつけることを看過してはならない。』

簡単に言うと、言葉の暴力を受けることで脳にダメージが与えられ、それによって他人の言葉を理解したり、会話したりする等に必要な言語性の聴覚中枢でシナプスの過剰形成がされ、それによって聴覚野の容積が増加→活動が低下する、という影響が出るということだと思います。

また、体罰についても以下のように記載されています。

『一般に体罰は「しつけ」の一環と考えられているが,驚くべきことに「体罰」でも脳が打撃を受けることがわかった。厳格な体罰(頬への平手打ちやベルト,杖などで尻をたたくなどの行為)を長期かつ継続的に受けた人たちの脳では,前頭前野の一部である右前頭前野内側部の容積が平均19.1パーセントも小さくなっていた(Tomoda et al,, 2009)。この領域は前頭前野の一部で,感情や思考をコントロールし,犯罪抑制力に関わっているところである。さらに集中力・意思決定・共感などに関わる右前帯状回も,16.9パーセントの容積減少がみられた。物事を認知する働きをもつ左前頭前野背外側部も14.5パーセント減少していた。

これらの部分が障害されると,うつ病の一つである感情障害や,非行を繰り返す素行障害などにつながると言われる。体罰と「しつけ」の境界は明確ではない。親は「しつけ」のつもりでも,ストレスが高じて過剰な体罰になってしまう,これが最近の虐待数の増加につながっているのではないかと思われる。』

このように、人として、倫理的に、というのももちろんですが、科学的にも脳へダメージを与えてしまうことが分かっています。

今回のような事件はおそらく、体罰や暴言で一時的に行動を改善させていたように見せていたのかもしれません。ですが、体罰や暴言によって得られた子どもの姿は恐怖によって行動しています。

このような姿はその時だけは上手くいく、もしくは体罰や暴言のような強い指導をしてくる大人の言う事は恐怖で聞くのかもしれません。

しかし、見えない部分で脳やこころにもダメージを与えてしまうのです。

子ども達のすこやかな成長を支えていくために、

当事業所では子ども達の良い部分や行動を見つけ、伸ばす関わりを中心にお伝えしていきたいと思います。

【参考画像:子どもすこやかサポートネット「体罰や暴力の影響」子どもを健やかに育むために】